【大阪市】農地を駐車場に転用する方法|農地転用届出と生産緑地地区について行政書士が解説

「親から相続した大阪市内の農地が空いているので、駐車場にして収益化したい」 「耕作しきれない大阪市内の畑を駐車場として貸したい」
このように考えたとき、避けて通れないのが「農地転用」と「地目変更」の手続きです。
大阪市内は高度に市街化が進んでおり、全国屈指の「農地が少ない」エリアですが、平野区、住吉区、東成区などを中心に、貴重な農地が残っています。これらの農地は、「市街化区域」に属しているため、「市街化調整区域」で見られる条件の厳しい「農地転用許可申請」ではなく、「農地転用届出」という比較的簡易な手続きで済むという特徴があります。
しかし、大阪市の農地の多くは「生産緑地法」という別の法律によって厳格に守られているのが実態です。仮に「生産緑地地区」に指定されていた場合、この生産緑地地区の指定を解かない限り、どれほど農地法の届出がスムーズであっても、駐車場化は1ミリも進みません。
本記事では、地元である堺市堺区に事務所を構える行政書士が、地方公務員としての経験も交えながら、大阪市でスムーズに駐車場化を進めるための基本事項をわかりやすく整理しました。
「自分の土地は駐車場にできるのか」「まずは何から手をつければいいのか」とお悩みの方は、ぜひ最後までご一読ください。
土地の「地目」とは何か?
地目とは、土地の利用状況によって区分された名称のことで、不動産登記簿に記載されています。駐車場として利用する場合や、住宅地として売却する場合は、最終的に地目を「雑種地」や「宅地」へ変更することになります。
- 地目の種類: 全部で23種類あります。代表的なものに「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」などがあります。
- 登記簿上の表記: 地目に「農地」という項目はなく、登記上は 「田」や「畑」 と記載されます(不動産登記規則第99条)。
農地法における「農地」の定義と現況優先の原則
農地法では、農地を 「耕作の目的に供される土地」 と定義しています。ここで注意が必要なのは、農地かどうかの判断は登記簿上の記載だけでなく、 「現況(実際の土地の状態)」 が優先される点です。
- 実態での判断: 登記簿が「田・畑」であれば、原則として農地法の規制を受けます。ただし、現況が明らかに農地ではなく、農地への復元も困難な場合は、非農地として扱われることもあります。逆に、登記簿が「山林」であっても、実際には畑として使われていれば、農地法の規制対象となることもあり得ます。
- 放置された農地(休耕地): 「今は作物を育てていないから農地ではない」という主張は通用しません。農地に復元可能であれば、依然として農地として扱われます。
生産緑地地区に指定されていないか?:生産緑地法による「厳格な保護」
大阪市内の農地転用において、農地法よりも先に確認すべきなのが「生産緑地地区」の存在です。
「届出」以前の絶対的な縛り
大阪市内に現存する農地のほとんどは生産緑地に指定されています。
生産緑地地区に指定されていると、固定資産税・都市計画税の大幅な軽減と、相続税・贈与税の納税猶予などの大きなメリットがあります。これらは、市街化区域内の農地を保全し良好な都市環境を維持するために設けられた優遇措置で、税金が宅地並み評価よりはるかに安くなり、相続時も「農業投資価格」で評価され納税が猶予されますが、30年間の農業継続義務と行為制限(建築制限など)が伴います。
農地法が「転用のルール」を定めているのに対し、生産緑地法は「そもそも転用をさせない」ための強い拘束力を持っています。
駐車場にするための「買取申出」フロー
駐車場にするためには、まず生産緑地の指定を解除しなければなりません。これには以下の「買取申出」という重い手続きが必須となります。
指定から30年経過、または主たる従事者の死亡等を理由に、大阪市長へ買取を申し出る。
市が買い取らないことが確定するまで、次のステップへは一切進めません。
この手続きを完了して初めて、駐車場への転用が法律上可能になります。
農地転用の手続き:市街化区域だからこその「届出」
生産緑地の厳格な縛りを解いた後、ようやく農地法第4条・第5条の届出へと移ります。
大阪市の農地は「市街化区域」に属しているため、「市街化調整区域」で見られる厳しい「許可申請」ではなく、「届出」という手続きになります。
- 農地法第4条:所有者本人が駐車場にする場合。
- 農地法第5条:土地の売却や貸し付けを伴い、駐車場にする場合
受理通知書が着工の条件
「届出だから出すだけでいい」と思われがちですが、大阪市役所から「受理通知書」が出るまでは、原則として着工できません。無断で工事を始めると原状回復命令の対象となるリスクがあるため注意が必要です。
駐車場にする場合、「開発許可」は必要なのか?
「開発許可(都市計画法)」と「農地転用届出(農地法)」は根拠となる法律が異なります。判断の分かれ道は「建築物の有無」にあります。
- 青空駐車場(屋根のない駐車場): 「開発行為」には該当しないため、開発許可は不要です(農地転用許可のみ必要)
- 建築物に該当する駐車場: 一定規模以上の屋根付き車庫や駐車場を建てる場合は、農地転用届出に加えて、別途「開発許可」が必要になる可能性があります。


建築基準法上の建築物に該当するか?都市計画法上の開発行為に該当するか?を整理することが重要です。
大阪市での手続きと相談窓口
農地法の転用届出(4条・5条)
- 相談窓口:大阪市 経済戦略局 産業振興部 産業振興課(農業担当)
- 〒559-0034:大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル オズ棟南館4階
- 電話:06-6615-3751
市役所本庁(中之島)とは場所が離れていますので、窓口相談の際はご注意ください。
窓口の場所や届出に必要な書類については、大阪市ホームページの「農地を農地以外のものにする(農地を転用する)とき」のページから確認できます。
おわりに
農地法における農地転用は、適正な土地利用のために欠かせないルールです。
大阪市において農地を駐車場に変えるには、「届出だけで済む農地法」の裏にある「厳格に守られている生産緑地」という二重構造を理解しなければなりません。
こうした複雑な法制度を正しく把握しないまま計画を進めてしまうと、後で大きな修正を迫られたり、税金の猶予が取り消されて多額の納税が発生したりするリスクがあります。
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当事務所は堺市堺区にございますが、大阪市内全域(平野区・住吉区・東成区など)の農地調査・申請代行に迅速に対応いたします。
自分の土地が駐車場にできるのか、何から手をつければいいのかと不安に思われたら、まずは一度ご相談ください。丁寧なヒアリングとこまめな報告で、完了まで誠実にサポートいたします。
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