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農地を駐車場にしたい!|「農地転用許可」と「地目変更」の基本

2025 12/22
農地法
2025年12月22日2026年1月12日
Shinya Moriyama

「親から相続した農地が空いているので、駐車場にして収益化したい」 「耕作しきれない畑を駐車場として貸したい」 このように考えたとき、避けて通れないのが「農地転用」と「地目変更」の手続きです。

農地は農地法によって厳格に守られており、勝手に砂利を敷いて駐車場にすることはできません。手続きの順序を間違えると、是正勧告を受けるリスクもあります。本記事では、スムーズに駐車場化を進めるための基本事項を、行政書士の視点からわかりやすく整理しました。


目次

土地の「地目」とは何か?

地目とは、土地の利用状況によって区分された名称のことで、不動産登記簿に記載されています。駐車場として利用する場合や、住宅地として売却する場合は、最終的に地目を「雑種地」や「宅地」へ変更することになります。

  • 地目の種類: 全部で23種類あります。代表的なものに「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」などがあります。
  • 登記簿上の表記: 地目に「農地」という項目はなく、登記上は 「田」や「畑」 と記載されます(不動産登記規則第99条)。

農地法における「農地」の定義と現況優先の原則

農地法では、農地を 「耕作の目的に供される土地」 と定義しています。ここで注意が必要なのは、農地かどうかの判断は登記簿上の記載だけでなく、 「現況(実際の土地の状態)」 が優先される点です。

  • 実態での判断: 登記簿が「田・畑」であれば、原則として農地法の規制を受けます。ただし、現況が明らかに農地ではなく、農地への復元も困難な場合は、非農地として扱われることもあります。逆に、登記簿が「山林」であっても、実際には畑として使われていれば、農地法の規制対象となることもあり得ます。
  • 放置された農地(休耕地): 「今は作物を育てていないから農地ではない」という主張は通用しません。農地に復元可能であれば、依然として農地として扱われます。
  • 売却の制限: 農地を農地のまま売却(所有権移転)するには、農業委員会の許可が必要です。農地法は国内の農地を保護する目的があるため、第三者への権利移転や、農地以外への転用には厳しい規制があります。
農地法関係事務に係る処理基準について(農林水産事務次官依命通知)

農地転用と地目変更の違い

「農地を駐車場などの農地以外にすること」を農地転用と言いますが、これは「地目変更」とは別の手続きです。

  • 農地転用(農地法): 耕作目的の土地を、駐車場などの用途に変えること。農業委員会等から「農地以外にしても良い」というお墨付きをもらう手続き。
  • 地目変更(不動産登記法): 土地の用途を客観的に判別し、登記上の種類を書き換えること。

不動産登記法では、地目に変更があった場合に「地目変更登記」を申請する義務を定めていますが、農地の場合、先に 「農地転用許可(届出)」 を得ていなければ、法務局で地目変更登記を受理してもらうことはできません。

市街化区域と市街化調整区域による手続きの違い

土地が属する「区域」によって、手続きの重さが大きく変わります。

  • 市街化区域: すでに市街地となっている、または優先的に市街化を進める区域。農業委員会への 「届出」 だけで済み、比較的スムーズに転用・地目変更が可能です。
  • 市街化調整区域: 市街化を抑制し、農業や自然を保護する区域。原則として都道府県知事等の 「許可」 が必要であり、届出に比べて審査のハードルは格段に高くなります。

駐車場にする場合、「開発許可」は必要なのか?

「開発許可(都市計画法)」と「農地転用許可(農地法)」は根拠となる法律が異なります。市街化調整区域で農地を駐車場にする場合、 判断の分かれ道は「建築物の有無」にあります。

  • 青空駐車場(屋根のない駐車場): 「開発行為」には該当しないため、開発許可は不要です(農地転用許可のみ必要)
  • 建築物に該当する駐車場: 屋根付きの車庫や駐車場を建てる場合は、農地転用許可に加えて、別途「開発許可」が必要になる可能性があります。
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建築基準法上の建築物に該当するか?都市計画法上の開発行為に該当するか?を整理することが重要です。

転用の可否を決める「5つの農地区分」

特に市街化調整区域内の農地は、その場所や条件によって5つの種類に区分されています。

区分特徴転用許可の目安
①農用地区域内農地農業振興地域内の特に守るべき農地原則不可
②甲種農地市街化調整区域内の特に良好な農地原則不可
③第1種農地10ヘクタール以上の集団農地など原則不可
④第2種農地駅から500m以内など、市街地化が見込まれる農地条件付きで許可
⑤第3種農地駅から300m以内など、都市化が進んだ区域原則許可

①〜③は農地転用が原則不可とされ、許可を取得することは極めて難しくなっています。

土地の区分や区域を確認する方法

農地転用の手続きを進める前に、まずはその土地がどのような規制を受けているかを正確に把握する必要があります。以下の手順で確認を行います。

  • 農業委員会の窓口で確認する: 最も確実な方法です。市区町村の農業委員会事務局へ行き、土地の地番を伝えて「農地区分(第何種農地か、農振農用地区域内か)」を確認します。
  • 都市計画課で確認する: その土地が「市街化区域」か「市街化調整区域」かを確認します。多くの自治体では、インターネット上の「都市計画情報マップ」などで公開されています。
  • 土地改良区への加入状況を確認する: その土地が「土地改良区」の区域内にある場合、別途、決済金(除外金)の支払いや承諾手続きが必要になるため、あらかじめ確認が必要です。

おわりに

農地法における「農地転用許可」は、適正な土地利用のために欠かせないルールです。しかし、現実には行政書士などの専門家であっても、農地転用許可と開発許可の関係性を正確に整理できていないケースが少なくありません。

土地活用を検討される方が、こうした複雑な法制度の枠組みを正しく把握しないまま計画を進めてしまうと、後で大きな修正を迫られるリスクがあります。

また、農地転用許可や開発許可申請は、法文の解釈が難しいだけでなく、複数の法律や自治体独自の条例、運用ルールが複雑に絡み合います。高度な判断が求められ、「法と手続きが複雑で全容が見えない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

行政書士アーク許認可支援オフィスでは、以下の2つの強みを活かし、お客様のプロジェクトを完遂までサポートいたします。

1.行政側の視点: 地方公務員として許認可審査に携わった経験から、審査や検査でどこを見るか、スムーズな許可取得のポイントを熟知しています。

2.事業者側の視点: 大手化学メーカーでプラント設計・監理に従事した経験を活かし、単なる書類作成にとどまらず、お客様のプロジェクト全体の進行を見据えたご提案が可能です。

本コラムでは今後も、農地転用許可や開発許可など、建築・土地活用に役立つ情報を発信してまいります。「自分の計画しているものには農地転用手続きが必要なのか?」「まずは何から手をつければいいのか?」と不安に思われたら、まずは一度ご相談ください。丁寧なヒアリングとこまめな進捗報告で、完了まで安心してお任せいただけるよう誠実にサポートいたします。

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この記事を書いた人

Shinya Moriyamaのアバター Shinya Moriyama

行政書士アーク許認可支援オフィス代表。行政書士・宅地建物取引士。地方公務員(許認可審査、公共事業設計・監理)と大手化学メーカー(プラント設計・監理、PM)のキャリアを経て、行政書士事務所を開業。行政・民間双方の実務で培った現場感覚と法的要件の整理を武器に、「法と手続きが複雑で全容が見えない」課題を解消へと導きます。オフの時間は、愛猫と遊んだり、ギターを弾いたりしてリフレッシュしています。

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