建築物の定義と「建築確認申請」の必要性について

普段、何気なく使っている「建築物」や「建物」という言葉ですが、実は法律上、明確な定義があります。この定義に該当するかどうかによって、建築確認申請が必要かどうかが決まるため、まずは建築基準法の条文をしっかりと押さえておきましょう。
建築基準法における建築物の定義
建築物については、建築基準法第2条第1号で次のように定められています。
建築物
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道や軌道の線路敷地内の運転保安施設などを除く。)をいい、建築設備も含む。
条文だけを読むと少し分かりにくいため、重要なポイントを整理しておきます。
建築物となる3つのポイント
1.土地に定着している工作物
建築基準法上の建築物となりえる第一の条件は、「土地に定着している」ことです。簡単に撤去できるようなものは、原則として建築物には該当しません。例えば、ホームセンターで販売されている小型の物置を庭に設置しただけであれば、通常は建築物とは見なされません。
一方で、大型のコンテナを更地に設置し、電気・水道・ガスを引き込むような場合には、建築基準法上の建築物となる可能性が高くなります。この場合、建築確認申請が必要となるため注意が必要です。
2.屋根が必要
建築物には「屋根」が必要です。柱や壁だけでは建築物とはなりません。これは、建築物には「雨を防ぐ機能」が当然に求められているためであると考えられます。
なお、建築物に該当するか否かは、その土地に関する手続きにも影響を与えます。今後のコラムで詳しく紹介していく予定ですが、例えば、建築物を建てずに土地の区画形質の変更だけを行う場合には、そもそも「開発行為」に該当しないため、開発許可は不要となります。青空駐車場がその典型例です。ただし、土地が農地の場合には、別途「農地転用許可」が必要になるケースもあります。
3.門や塀も建築物に含まれる
門や塀は単独では建築物とはなりませんが、工作物に附属する場合は建築物とされます。「家に附属する門や塀も建築物に含まれる」という点に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、法律上はこのように定義されています。建築や不動産に携わっていない方にとっては、なかなか知る機会がないため、実務上、トラブルにつながることも少なくありません。「セットバック(道路後退)」にも関わる重要なポイントとなりますので、ぜひ押さえておきましょう。なお、セットバックについての詳しい内容は下記の記事を参考にしてください。

条文中には、「観覧のための工作物」や「地下・高架内に設ける施設」なども例示されていますが、実務上これらに遭遇することはあまり多くありません。まずは、基本となる上記3つのポイントを確実に理解しておくことが重要です。
建築確認申請が必要かどうかの判断
実務では、「建築確認申請が必要か?」といった判断を求められる場面がよくあります。その際は、まず、対象となるものが建築基準法上の建築物に該当するかどうかを確認することが重要です。建築物に該当するか否かの判断は一見簡単そうに見えますが、「建築物に該当しない」と思っていても、国や自治体が定めた取扱いによっては、建築物に該当するケースもありますので慎重に判断しましょう。
対象となるものが建築物に該当する場合、次に確認すべきは、床面積です。防火地域または準防火地域以外では、床面積が10㎡以下であれば建築確認申請は不要とされています。ただし、建築確認申請が不要であっても、建築基準法は必ず遵守する必要があります。建築確認申請不要=自由に建築できる、ということではありませんのでご注意ください。
床面積の考え方は非常に難しいため、10㎡を超えるか微妙な場合には、専門家へ相談されることをおすすめします。
おわりに
建築基準法における「建築物」の定義は、一見シンプルですが、実際の現場では判断に迷うケースが少なくありません。「これは建築物にあたらないだろう」という思い込みが、後の法規違反や事業の遅れといった重大なトラブルにつながる恐れもあります。
また、建築確認申請は、法文の解釈が難しいだけでなく、複数の法律や自治体独自の条例、運用ルールが複雑に絡み合います。高度な判断が求められ、「法と手続きが複雑で全容が見えない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
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